その仕草ひとつ、ひとつをあたしは見つめていた。 でも彼を見つめていることに気がついたのは数秒経った頃で、あたしはそっと目をそらした。 彼は今、あたしを見てる? それとも、見てない? それでもあたしはそのまま彼に背中を向けて助けを求めるように麻奈美を呼んだ。 「麻奈美、そろそろ教室戻ろう」 あたしの言葉に気がついた麻奈美はニコニコしながらあたしに頷いて、笑っている川嶋湧太に一声をかけてあたしの方に戻ってくる。