恋することを知った恋


ギュッと――

あたしは黒瀬先輩に手を握られた。

それは、あたしの大好きな笑顔で。

「ぇ、」

小さくしか出せなかった、あたしの声。

「え…ちょ、ちょっと待ってよ颯斗っ」

鈴乃さんの慌てた声が、あたしの後ろから聞こえた。

「ごめんね」

黒瀬先輩は、悲しい声でそう言った。


状況に感情が追いついた頃にはもう。




あたしは黒瀬先輩に手を握られたまま、ファミレスを飛び出していた。