普段こんなふうに遊びに来たりしないあたしたちがカラオケに来ようと思ったきっかけは、麻奈美が作ってくれた。

昨日あたしが黒瀬先輩の件で泣きはらしたことに気づいていたようで、その悲しみを軽くするにはカラオケに来て歌を歌うことがいちばんだとあたしに教えてくれたのだ。

普段のあたしなら首を横に振っていたけど、今日はいいかも。

そう思ったあたしが頷くと、麻奈美は行きつけだというカラオケに連れて来てくれた。

部屋はポップな色調のドット柄の壁紙に覆われていて、あたしの視界から気持ちを楽しくさせた。

失恋の曲は避けて、わざとアップテンポの曲ばかりを歌う麻奈美。