恋することを知った恋


桐原、って何度も呼ばれて、その度に胸が鳴って。

黒瀬先輩にとっては何気ない言葉も笑顔も、あたしにとってはとても大切な宝物で。

少し前まではこんなふうに誰かを想うことが嫌いで、バカバカしいって思ってたのに。

好きな人に触れたくて走り出したり、目が合ってドキドキしたりするなんて、悔しい。

その相手が黒瀬先輩、叶わないからもっと悔しい。


「っ…」


言葉にならない声が、涙と共にあたしの世界をすり抜ける。