ゆっくり振り返ると、目が合った。 「本当にありがとうございました」 一生懸命に感謝をする姿。 あたしの方が、年下かもしれないのに。 どこの誰かもわからないのに。 「…いえ」 あたしはそれだけ言って、また歩き出した。 振り返ることなく、真っ直ぐに。 振り返ると、何かわからないけど―― 何か想いが、溢れそうだったから。