恋することを知った恋




「おかえり杏里、ご飯できてるよ」

今日はなんとなく晩御飯は家で食べようかなと思っていた。

ここ最近ずっと好きなものを外で食べていて、不意に家でゆっくり母親の手料理を食べたくなったから。

だから今日は家を出る前に、晩御飯は家で食べるということを伝えておいたのだ。

だから帰宅したあたしに、母親がリビングでテレビを見ながらそう声をかけた。

もしかしたら、その料理に涙してしまうかもしれない。

今のあたしなら。

「ありがとう、少ししたらいく」

あたしはそれだけ言って、すぐに自分の部屋に入ってドアを閉めた。