誰にも見られたくない、外にいると誰かに見られてしまう。 泣くなら家で泣きたい。 誰にも気づかれない場所で、ひとりで泣きたい。 あたしはただ家に向かうことだけを考える。 考えている、はずなのに。 黒瀬先輩の落ち着いた声、鈴乃さんの高い声。 離れない。 あたしを苦しめる2つの声が、まとわりついて離れない。 ぐちゃぐちゃになったあたしの気持ちと身体は、嫌がれば嫌がるほど深みにはまっていくようで。 どこにも問いかけられず、どこにもぶつけられない感情を連れたまま、あたしは帰宅した。