恋することを知った恋


でも麻奈美だけはきっと、気づいている。

さっきまで幸せに包まれていた麻奈美の声は、あたしの頭を撫でるように落ち着いたトーンに変わった。

黒瀬先輩も湧太先輩も、あたしたちの気持ちの変化にはきっと気づいていないだろう。

分かりきったことだった。


彼女がいることも、その気持ちはあたしには向けられないことも。


分かりきっていた。

あたしは飲みかけのコーヒーを、もう飲む気にはなれなかった。