恋することを知った恋


仕方なかったから。

あたしは無言で立ち上がって彼女に場所を譲り、隣の空席にひとり座った。

さっきまであたしが座っていた黒瀬先輩の隣の席には、当然のように彼女が座っている。


そこ、あたしの席。


あたしの席なのに、あたしの席じゃない。

全てがあたしを苦しめるようで、心は逃げたがっている。

あたしは感情を隠すのが得意だ。

だから口に出さなくちゃ、この思いには誰にも気づかれない。