恋することを知った恋


一歩ずつ、その女性に近寄る。


「はじめまして、颯斗の彼女の相川鈴乃です」


大人の、女性だった。

黒瀬先輩はその女性の横に立って、照れくさそうに笑った。

安心したような茶色の瞳。

首元を掻いた大きな手。

さっきまであたしの隣にあった、
大切な時間。

あたしの予想以上のことが起こる、毎日。

なんとなく2人から目をそらす。

握り締めた手に突き刺さる爪が、痛い。



本当に、痛い。