恋することを知った恋


「ほんと?じゃあ近い!その駅の前の前の通りにあるファミレスに来て!あたしと杏里が出会ったばかりの頃通ってたファミレス!待ってるから!」

麻奈美はそれだけ言って、自分勝手に通話を切った。

耳元にスマートフォンを当てたままのあたしの耳には、ツー…という電子音だけが残った。


ファミレス?今から会おうってこと?


あたしは半分意味がわからないまま、画面をタッチして通話画面を終了させる。

でもこれからの予定はもちろん決まってなかったし、今の麻奈美の声を聞いたら…なんか少しだけ元気が出たし。

あたしはベンチから立ち上がって、麻奈美に言われたファミレスへ向かうことにした。