あたしはそんな麻奈美も軽くスルーして、普通に返事をする。
「暇っちゃ暇だよ、なに?」
「スルー?まあいいけど、杏里今どこ?」
麻奈美はあたしにスルーされたことが可笑しかったのか虚しかったのか分からないけど、笑って会話を続けた。
「今は駅の近くだけど」
あたしはアパレルショップの前にあったお洒落なベンチに、そっと腰掛けた。
日中なのにも関わらず少しひんやりとするベンチ。
横には小さなパンジーが植えられた丸い鉢が置かれていて、店の前を華やかに演出していた。
あたしは自分のパンプスの先を見ながら、麻奈美と通話する。

