黙り込んだあたしを、不審に思うかもしれない。 でも、あたしは何も言うことができなくて。 ただ自分の想いと、こみ上げてくる何かを抑えるのに必死で。 「桐原?」 黒瀬先輩の優しい声が、しっとりと降ってくる。 あたしは顔を上げて、黒瀬先輩を見つめた。 無条件に配られる、黒瀬先輩の優しさ。 あたしが隣にいることなんかできなくて、近づけば近づくほどに苦しくなる。 こんなにも近いのに、届かない。