恋することを知った恋


あたしは黒瀬先輩を見つめたまま、また視線を足元に落とした。

勇気を出して踏み出した、あたしの恋。

叶う恋ならよかった。

伝えられる相手ならよかった。



――でも、黒瀬先輩がよかった。



黒瀬先輩だから、好きになった。

あたしはそのまま軽く唇を噛む。