恋することを知った恋



「よかった見つかって」


そう言った黒瀬先輩の前までたどり着いたあたしは、安心したように足を止めた。

周りにあるのは図書室の窓から見えるたくさんの本だけで、麻奈美や湧太先輩の姿はない。

あたしが一番乗りにここに着いたようだ。

ということは、2人きり――。

「黒瀬先輩、本当にありがとうございますっ」

さっきまで潤んでいた目は、黒瀬先輩のところに着くまでにバッチリ乾かせておいた。