恋することを知った恋


授業が全て終わって、暇を持て余していたあたしと麻奈美が誰もいない教室でちょうどおしゃべりをしていたところだった。

「嘘でしょ?!あのお気に入りの?」

――あたしはいつものようにスマートフォンで好きなアーティストの動画を見ながら、麻奈美の飼っている犬の話についてなんとなく相槌をうっていた。

そこで教室の窓から風が入ってきて、あたしの髪を揺らしたのだ。

耳にかけていたあたしの髪がはらりと耳から流れ落ちて、あたしはその髪をまた耳にかけた。

あれ、おかしい。

いつもならピアスに髪が絡まらないように気をつけながら耳にかけているのに、今はその心配をせずに素早く耳にかかった。