恋することを知った恋


優しい表情のまま、首を傾げた。

「あ、なんでもないです」

あたしはあっさりと目をそらす。

いろいろなことをまた、思い出すから。

黒瀬先輩のこと、その彼女のこと。

一瞬忘れていたのは、もしかしたら湧太先輩のおかげになるかもしれない。

でも自分で黒瀬先輩の話題から離れようともしたし、ほとんどは自分で動かした展開だったけど。

「じゃ牛丼食いにくか」

湧太先輩は窓から離れて、置いていた鞄を持つ。