恋することを知った恋


気づけば、ここからどうやって脱出しようと考えていたあたしは、もういなかった。

湧太先輩とは少しだけ、打ち解けられたかもしれない。

でも簡単には心は許せないから、許すのは少しだけ。

「ごめんごめん」

そこに、黒瀬先輩が戻ってきた。

そっか、彼女と電話してたんだ。

あたしはふとそのことを思い出して、黒瀬先輩を見つめる。

黒瀬先輩の表情は、教室を出ていく前より少し明るくなっているような気がした。