湧太先輩は何度か頷き、黒板の前を通って窓際まで来た。 あたしのいる場所は後ろの窓際、湧太先輩のいる場所は前の窓際。 今直線上に湧太先輩がいるから、あたしのいる場所が麻奈美だったらよかったのにとすごく思う。 肝心の黒瀬先輩は黒板の近くの一番前の席に鞄を置いて、教室の中に貼られたポスターや、小さく書かれた黒板の落書きを笑って見ている。 でも実際そんなことどうでもいいと思うほどに、あたしは今切羽詰っている。 空っぽの教室に、あたしと男の先輩2人。 更にまだ出会ってたった5日の、そんな関係。