あたしは窓の外から目を離して、声の聞こえる方を見た。 廊下から聞こえる声。 あたしは机に座ったまま一歩も動かずに、でも意識だけを廊下の方に動かした。 「んー、まあ牛丼でもいいけど」 笑った、黒瀬先輩の声。 静かだった教室とあたしの胸の中に、いきなり大きな波が寄ってきてざわめき始めた。 黒瀬先輩と湧太先輩の声に、間違いなかった。 そしてあたしは2人の姿を確認した。