そう言って立ち上がる彼。

あ……


「水ありがとうございました」


白くてシンプルな時計をした腕で

渡された水に目を向ける。


「元気になったみたいでよかった」

そう微笑む彼はなんだか可愛く見えて

ちょっぴり胸が痛んだ。

「じゃ、俺行くね。お前はもうちょっとそこにいろよ」

彼は、保健室の扉を開けて廊下へ出ていった。

彼が出ていった保健室はシーンとしていて

なんだか寂しい感じがした

私の頬に急に温かいものが流れた

すぐにそれが涙と気づく


「どうして。涙なんか」


つぶやいて涙をふく。

この胸の痛みの意味を私はまだ知らない。