私は、彼女が好きだ。

窓際の席で、彼女は優しい秋風に髪を少しなびかせながら白で書かれた文字をノートに書き写していた。

成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗の三拍子揃って、どこをとっても完璧だ。

でも出る杭は打たれるこの世の中で、彼女はあまりにも目立ちすぎたのだ。

それでも、無口で無愛想な彼女は何事も無かったかのようにそこで、息をしていた。

1度、私は彼女に問いた事がある。

彼女はその問に、感情は余計なもの だと答えるとまた机と向き合ってしまった。

それからだった。

自分が彼女に強い興味を示す様になったのは。

あの昼休み、一瞬彼女が人間ではないなにかに見えた様な気がして、それを確かめたいと強く思った。

昼下がり、静かに目を閉じて彼女のペンを走らせる音に恋をして。

2人だけの教室に、遠くの雑音と秋風を混ぜて。

私は緩やかに、暖かさで幸せを溶かした。

そうだ、君の血は紛れもなく赤色だ。