窓辺に飾られた造花、いつからあるのかは覚えていない。

台に登って覗いた棚の上の汚れに嫌悪感を覚える。

棚の中身が何だったかは忘れたけれど、きっと小さい頃に詰め込んだ素敵な物は処分してしまってもう無い。

中身を知りたくなる好奇心と、知ってしまって戻れないのを知っている理性の勝敗は付かないから、ベッドに腰掛けて目を閉じる。

爽やかな制汗剤の匂いは似合わないから、甘ったるい花の香りの香水を胸元につけて、お腹がすいた訳でもないけど料理を始める。

数分で済ました下拵え。
まだまだ足りなくったって食材に心はないから、自分が満足できればそれでいいのだ。

食材を腹の中に押し込む作業にはもう慣れた。

これを食事と呼ぶには喜びやら幸福やらが少し足りない。

そう、これは作業なのだ。

無理矢理に欲を満たされる為の作業なのだ。

そうやって、綺麗な宝石も割ってみれば中身は案外汚いのだ。

本当に...

本当に、つまらなくなってしまったのだ。