アズラーイール


車を近くのパーキングに停めて、私の住むマンションまで 一緒に歩いてくれる。

私の右手は律さんの左手と繋がっている。

「それじゃあ、おやすみ。」

私の家の玄関。
律さんは毎晩 そこでキスをしてくれる。

優しく触れるだけのキス。
薄い皮一枚を通して 伝わる律さんの暖かさ。

「じゃあね。」

と律さんは 部屋を出て、玄関の鍵を外から閉める。

それもまた、心配なのだそう。
私がうっかり 鍵を閉め忘れないか。

鍵がきちんと閉まっているか、確認してから 律さんは帰って行く。