本題は、数時間前…つまり、入学式直後となる。

私、藍沢結はとある状態に置かされていた。
中学時代はクラスでは目立たず、部活は漫画研究会。リア充というものとは程遠い状態で三年間を過ごし、男子の接点も…研究会の部員と幼馴染の風間春都のみだった。

……なのに!そんな根暗な人間なのに!
同じクラスで出席番号的に隣の席のイケメン男子(名前忘れた…)と''二人きり''(←ココ重要)でこの広い教室に居たのです!


イケメン男子君と二人きりで残されたのは訳があって、たまたま先生にパシられ明日のHRで使う資料作りを任された際に、隣りに座ってたイケメン男子君が''挙手して''…

「俺も手伝います」

なんて言ってくれたので、この状態が出来上がった。
別に…手伝わなくても良かったのにね!一人でモクモクやるほうがいいよ!絶対!(失礼)




そんな訳で、沈黙の中でイケメン男子君が何故か私を見てるのも気にせず黙々と作業をしてたところ……(こっから本題だけど)

「藍沢さんって、凄く器用なんだね。」

「えっ!?」

もう既に、名前を覚えられただと!?←
私はまだ君の名前は知らないんだけども!

「あっ、俺…相田悠馬。宜しくな。」

「あ…相田君は…どうして手伝ってくれたのデスカ」

リア充系男子と話すなんて緊張するし、さらっと名前名乗ってくれてありがたい……。

「えっ?だって…藍沢も雑用押し付けられて大変だろうし…二人でやった方が楽かなって思ったんだけど…」

''お節介だったか?''
なんて言ってくださる……というか!言動がイケメンか!イケメンなのか!

「そっ…そんな事ない…デス」

「良かった〜……後、敬語無しな!」

「えっ!はいっ!?」



問題発言したぞ?相田君。

「だって、これからクラスメイトなんだし…第一同い年なのに、敬語って…なんか距離感じて凄く悲しいからさ。」


何だこの人!乙女ゲームのキャラかよ!?
イケメンでなんか可愛いぞ!←


「それとも…俺と仲良くしたくない?」

相田君は机を挟んで反対側に居たのだけれども、机に腕を立てこちらにずいっと顔を近づけた。

なんと言うことでしょう!?顔が近づきやしませんか!相田君!?

「うぇえっ!?ちょっ…相田君!?」

「ね、どうなの?」

そう言った気がするけど、どんどん近づく相田君の顔で気にすることが出来なかった。


「わっわかった!わかったから!」


ピタッと止まって、元の位置に戻っていった相田君。
きっと私は少女マンガの様に紅い顔をしているだろう。

「……っふふふっ」

「なっなにさ…」

「…ふっ…顔真っ赤……照れた?」

相田君……というかコイツは呼び捨てでも良いだろう……相田の笑う姿は結構…かなり…イケメンな訳で。

顔を背けながら、私はさっさと中学の頃からの先輩がいる漫画研究部に行くことにした。

「っ…知らない!終わってるから、私行くね!」