別になんのようもないのに神社にふらりとよっていく。
まぁ…友人の1人がそこにいるからでもある。

「狐月〜いるんでしょ?ほら、僕が会いに来てやったんだよ〜」
と言ってみるも返事はない。
となれば最終手段だ。
手にしたのはそこらのスーパーで買ってきたナスの天ぷら。
「ほらほらここにはナスの天ぷらが…」
「あー!!!いる!いるよ!!!ほら!!」
ナスごときで必死になる神社に住んでる狐の子。それが僕の友人だった。

「人間のすーぱーっていう建物はすごいよね!こんな美味しいナスの天ぷらが手軽に食べられるなんて!!!」
はむはむとナスの天ぷらを食べる狐月を横目に少しぼーっと考えてみる。
内容は内緒。その方がいいでしょう?
「ねぇ玲太。これからもお供えしてね!次はナスの味噌漬けがいいな!」
「わがままだよねーお賽銭くれたらいいよ?てか神社に住んでるってだけで神様じゃないんでしょ?これお供えじゃなくてただの餌付けじゃん」
「玲太ってなんかそのケチだね」
「うるさいな」
と他愛のない会話を繰り返す。
平凡が訪れているという事実に少し安堵する。

「そうそう、僕から日頃のプレゼント!これ!」
帰り際狐月が袋を渡す。
中にはたくさんのちくわ…とアレな本。
「ちくわはうれしいんだけどこの本はいったい…」
「なんか落ちてた!玲太が好きなのかなーって思って」
「はぁ。ま、貰っとくよ。ナスの分これで許すね。今度もよろしく」
そう言って神社の階段を降りていく。
あれ?

「このちくわどうやって買ったんだろあいつ」