お兄ちゃん。私の大好きなお兄ちゃん。
歳は10も離れてるけどお兄ちゃんは優しくて好き。
でもそろそろ私を頼って欲しい気がする。
私達にはお母さんやお父さんがいない。死んだのだ。それは不運な事故だったのだと。
7歳の私にはきつかった。三年前の話だが今となれば生まれ変われたきっかけといっても過言ではない。私は女の子らしさを捨てた。お兄ちゃんの迷惑にならないように家事もそつなくこなせるようになった。勉強も頑張っている。
「お兄ちゃん!今日の晩御飯は私が作るね!!!」
「いや火は危ないぞあい…。俺がやるよ。大丈夫だって」
ほら、またお兄ちゃんはそうやって嘘ついてる…。
私はお兄ちゃんの腕をつかみちょっとばかし甘えを加えてみた。
お兄ちゃんはま、まぁ今日はいいか…と二つ返事でOKをだしてくれた。

「火は中火で…炒めて…うぅ目がしみる…」
料理。ちなみにカレーを始めて10分。玉ねぎを炒めているけれど痛い。目が…あのアニメの大佐の気持ちわかるよ…。
「…やっぱり俺が…」
「お兄ちゃんは座ってて!!!」
「あ、はい…すみません…」
お兄ちゃんは心配性だ。昔からそうだったらしいが写真は見たことないの。お兄ちゃんの私と同じぐらいの時の写真。見てみたいとは思っているけど幻滅するからやめとけと言われるのだ。どんなお兄ちゃんでも私の大切なたった1人の家族だから幻滅も何もしないのに…。
「!!おい!あい!!!」

「だから危ないって言っただろ…」
火傷をしてしまった。お兄ちゃんにはとても申し訳がない。
「ごめんなさい…ほんとにごめんなさい…」
「後は俺がやるからおとなしくしとけよ?大切な宝物に傷は付けたくない。な?」
「わかったよ…」
その後私とお兄ちゃんはカレーを食べた。私に合わせた甘口のカレー。
いつになったらお兄ちゃんは私を、甘やかさなくなるんだろう。最近の私の考え事の大半はこれだ。
でも、今はまだこのままでもいいのかなーなんて。

(明日の塾は行きも帰りも1人で行ってみようかなー…)