新校舎にある美術室はここからだいぶ離れている。
美術室に着くまでに色々話す時間は十分にあった。
「星野さん。」
「なんですか?」
「勝手な私の勘なんだけどね、星野さん最近元気ないような気がしてたの。何にもなかったら申し訳ないし、担任とはいえ大人の私には話したくないかもしれないから、話したくなかったら全然いいの。」
いつも冷静で冷たい大橋先生とは思えないほど感情のこもった温かい声に、顔を見なくても私を本気で心配してくれてるのがわかった。
この人には頼ってもいいんだ。相談してもいいんだ。そう思えて、今まで気が付かない間に自分が気を張ってたことがわかった。