「さぁ、紗季。おいで」
そういって海羽が手を伸ばすと紗季は導かれるように海羽のほうに行く。
「ま、まってよッッ!!」
ぱしっと紗季の腕をつかむ。
「ごめん…。朱里…」
するっと私の手を離れ紗季は海羽の隣に立った。
「ごめんのぉ~。朱里よ。
実はな~?わしと紗季は義姉妹なのだよ。」
その時ほど、私は海羽の笑顔が憎いと思ったことはない。
笑顔が怖いと思ったことはない。
「紗季。いままでよく朱里について頑張ったのぉ~」
「…だって。お姉ちゃん、お菓子くれるっていうから…」
はにかんだ紗季の顔を初めて憎いと思った。
また、同時に怖くなった。
女という生き物はこうも簡単に嘘がつけるものなのかと……。
「お姉ちゃん。会いたかった」
そう言って海羽の肩に顔をうずめる。
「じゃあ…、私のそばにずっとついててくれたのは海羽にそういわれたから…?」
「そうだよ?」
罪悪感も何の感情も帯びずに放たれたその言葉は私の心を凍てつかせた。
「お菓子がほしかったから?私のそばにいたの?
私に向けた笑顔も言葉も全部うそだったの……?」
「……そうだよ?」
何を言ってるの?みたいな笑みを含んだ声が聞こえてきて
あぁ、私の今までの人生は何だったのかと呆れた。

