「へい、おまちど」






一通り手伝いをすませてから、冷蔵庫に入っていたオレンジジュースを手渡した。


嬉しそうに「ありがとっ」と言っている姿を見ると嬉しくなる。



とりあえずおれも向かいのイスに座る。






「あのね、わたしの名前ね、はるねっていうの!


おにいちゃん、お名前なんてゆーの?」


「おれか? おれは圭介。……はるねちゃんっていうのか?」


「そうだよっ。


ねえねえ! けいすけにいちゃんはさ、美容師さんなんだよねっ??」






急に〝けいすけにいちゃん〟なんて呼ばれたもんで恥ずかしくもどかしくて顔が熱くなる。


あれ、おれさっき美容師じゃないって……






「あ」


「そうなんだよね!?」






―――――――――――――――――――――………………






『おにいちゃんもびようしさん?』





『んー、兄ちゃんは……』


『こら圭介!! 早くカラー持ってきて!』






……………………―――――――――――――――――――――





「いや、兄ちゃんは……」


「はるねね、かみのけながいでしょ? だからみんなに〝おばけみたい〟って言われるの」






言いかけて口を閉じる。

たしかにはるねちゃんは髪の毛がお腹くらいまで伸びていて、毛先も揃っていない。






「けいすけにいちゃんびようしさんだからかみのけ切ってくれる??」


「え……まあ……その」






さて、どうしたもんだか。