「――――ったく」 カバンをそのへんに放り投げてジャージに着替え、美容室のエプロンをつける。 こうやって見ると涼介よりも結構親孝行だよな、おれ。 「圭介ー! カラー持ってきて!」 「へいへい」 帰ってきたそばから人使いの荒いこと荒いこと。 とりあえずカラーを作らなければ。 ゴム手袋をはめて作業に入ると、エプロンをくいくいっと引っ張る存在に気が付く。 下を見るとおれのひざよりも少し大きいくらいの女の子がいた。