「いってぇ……」
振り返ったはずみに誰かにぶつかってしまったみたいだ。
おもわずしりもちをついてしまう。
「あ、ごめんなさい! 大丈夫ですか……!?」
「……あ、大丈夫。ありがとう」
手を借りて立ち上がると、目の前にはあまり見たことのない女子がいた。
きっと他学年なのだろう。
「本当にすみません……前を見ていないもので……」
「いやいや、こっちこそ」
後ろを見なかったのが悪かったんだし、と言うとその女子は少し笑った。
「なんか、誰かに……?」
「……え?」
「いや、なにもないです! じゃあっ」
そう言ってそそっかしく走っていってしまった。
