「それにしてもなんでこんな季節に?」
「さあ? なんでだろうなー?」
こんなゴールデンウィーク明けに来るくらいなら、4月から来ちゃえばよかったのに。
「はいよぉ! 味噌ラーメン」
「じゃ、お先」
「おいおい」
まだメニュー表と格闘している村瀬を置いて、1人で空いているテーブルに座る。
「ちょっと微妙すぎるよな……?」
「たしかに。微妙だよねぇ」
聞こえてきた同情の声にうんうん、と心の中で頷く。
…………。あれ……?
「わっ!!!」
村瀬は今カウンターにいるはずだ。
しかも声の主は女子だった。
それに、ラーメンの汁をすすろうとどんぶりを持ったその瞬間に背中をどついてくる。
「誰だよ! ラーメンの汁こぼしたじゃ……」
ラーメンをテーブルの上に置いて後ろを振り返ってみると、そこにはおれの幼なじみがいた。
