レジの人がピッとバーコードを読み取る。
「3540円のお買い上げです。」
「4000円で。」
樹がお財布から1000円札を取り出す。
「4000円お預かりいたします。」
「460円のお返しです。」
「ありがとうございます。」
あっという間に会計を終わらせた店員さん。
想像以上の速さに少しびっくりした。
セルフのレジに比べれば、5倍くらい違うんじゃないのかな。
「買い出し終わったし、伊井坂(いいざか)の家に戻るか。」
「うん。」
あたし、かくれんぼの計画してからいいことばっかり起きてる気がする。
「ねぇ、樹ってさ。将来の夢なに?」
小さい時よく聞いてたなぁ。
「将来の夢?まだやりたいの決まってないかな。」
「昔はさ、よく正義のヒーローになるって言ってたよね。」
「言ってたなぁ。いまは思わないけど。」
「そっか。」
オレンジ色の夕日があたしたちを包んでいた。
かくれんぼまで、あと1日。
この幸せから、あたしはかけ離れてしまう。
その黒い影に、今はまだ気付けずに・・・。