もう、無理だ。こんな暮らし。耐えられない。

食後の休憩中に、私はこっそり城を抜け出した。
「ido.zho.1.00」
私は小さく呪文を唱えた。
白い光が私を包み込む。

白い光が消え去ると、私は神秘的な池の淵に立っていた。

この池は「時空の池」。

なぜそう呼ばれているのかはわからないが、疲れた心を癒してくれるこの場所が、私は大好きだ。

「もう、城に帰りたくない。」

いっそ、飛び込んで死んでしまおうか。とまで考えてしまう。

(ううん、ダメだ。私が死んだら、フィオナ国が滅びてしまう)

その時。

ズキン。

「・・・っ!?」
物凄い頭痛が私を襲った。意識が朦朧とする中、自分の体が傾いていくのがわかった。
(お・・・落ちる!!!)

ザッパーン!!!
池の水に落ちた私の体は、冷たい水底へとどんどん沈んでいく。もうダメだ。

・・・視界が、真っ暗になった・・・。