なんで言えないの?
かれこれ10分は経っている

何度も言おうとしたが
言葉が続かない


文句一つ言わず
黙って待っててくれる
小山課長に申し訳ない


あー、泣きそう
こんな自分が嫌いだ


がんばろう、と心で意気込み
顔を上げたら…


「俺は桜庭が好きだ」


不意をつかれた…


改めて言われると
やっぱり嬉しい、
嬉しくて我慢していた涙が流れる


その涙を
小山課長が拭ってくれる


「お前は?」


私が何を言おうとしていたのか
小山課長はわかっていたんだ…
ちゃんと、伝えたい

そう思い、頬に触れている
小山課長の手を取り握りしめた


『私、こ、こ、小山.課長のこと』


もう一声だ、と深呼吸をした
握った小山課長の手
私の手をしっかり握られている