「小夜!お疲れ」


会社を出て駅に向かう途中
私は肩を叩かれた


誰かなんて、一人しかいない
私の唯一の友達の菅野陽子だ


『陽子、お疲れ』


「いやー。今日は疲れた、この時間に帰れるのが奇跡だ、マジ奇跡」


陽子は開発部の事務員
出世コース間違いなしと言われている部署の事務員なんて、忙しい
陽子が奇跡というのは本当だ


『開発部で何かあるの?』


「あー、なんか大きな仕事が取れたみたいで、それの激励会みたいな?男ばかりの飲み会に私がいたら、目障りじゃない?だから断ったの」


へぇー、と言いながら
そう言えば昼間に小山課長が資料課に来ていた事を思い出した

大きな仕事…というのは
あの資料と関係しているのだろう


『うちでご飯食べる?』


「マジ?やった!小夜のご飯を食べるの久しぶり!いつも居酒屋とかだもんね」


陽子と時間が合えば居酒屋だったり
お互いの部屋だったりとご飯を一緒に食べたりもした