最悪だ
どうして…



声を出そうにも口を塞がれ
抱きかかえられているから
手足もうまく動かせない


どうにかチカラをいれて
逃げようとしていたら
ドサっと、身体を投げられた


痛っ、
投げ出されたのは
少し湿った草の上

灯りが届かない場所
薄っすら見える、二人の顔と
笑っている歯が少し見えた


助けてっ、


…なんで、
声が出ない…


恐怖で声が出ない、
まさにこの事だ


そんな事をしていると
不気味な笑いが聞こえた


「いいねぇ、怯えて声が出ないって。こっちには好都合だ」


そう言って一人が私に覆い被さってきた
やだ、と抵抗する

当たりが悪かった
覆い被さってきた相手の頬に
私の爪がかすった


「テメェ」


その声と同時に私の頬に激痛が走った
「ーーっ」
もう一人の声が聞こえたが
何を言ったのか、わからない