小山課長が出張だと嘘を言って
ここに来ていたという


私を捨てたお母さんの実家は
壊されて、もうない
けど、小山課長が調べてくれて
お婆ちゃんの実家を探してくれた
それが、ここだ


この家に住んでいるおばあさんは
お婆ちゃんの弟のお嫁さんだという
血胤関係はないが、親戚にあたる人だ

お婆ちゃんの兄弟はもういない
おばあさん一人で守っているという


『私の…ひいお婆ちゃんとひいお爺ちゃんって、ことだ』


そう思ったら嬉しい
ひとりぼっちだと思っていたから…
特に母親の方は縁切りをされているから
だから尚更喜びが増した


お線香を上げ、手をあわせる
初めて見るひいお爺ちゃんとひいお婆ちゃんの写真


『小山課長、ありがとう』

ごめんなさいをいうより
こっちの言葉の方がしっくりしている