蔵田課長もこんな伊藤さんを見るのは
初めてだったのか職場だというのを忘れて伊藤さんに駆け寄ってきた


「やっちゃん、落ち着いて」


「落ち着いてられない!毎日辛い顔してる桜庭さんを見るのも嫌なの!桜庭さんには笑ってて欲しい!私、桜庭さんには幸せになってもらいたいの!」


そう言って、子供のように
泣いてしまった伊藤さんを
蔵田課長は抱きしめていた



その時、エレベーターが着く音がした
ヤバいと、伊藤さんは蔵田課長から離れ
カウンターに背を向けている


誰かに見られたら大変だ
けど、資料課に来たのは当事者の一人



「桜庭を借りて行きます」


蔵田課長へと向けられた言葉だが
返事をしたのは伊藤さん


「どういうつもりですかっ!桜庭さんを泣かせて何やっているんですかっ!」


泣き腫らした顔で伊藤さんは小山課長に突っかかっていった