いいわね〜、といい
私もね、と昔話を話しだした
「私もね、主人とは社内恋愛だったの。小さな会社で私は事務員で主人は若いのにやり手で。新人でノロマな私をいつも助けてくれてね…。私もね主人のこと「小山課長」って呼んでいたの…ふふふ」
昔のことを思い出したのか
少し頬を赤らめているお母さん
「結婚しても、なかなか名前を呼べなくて苦労したわ」
わかります、と頷いてしまう
名前を呼ぶのって
かなりハードルが高い
呼ばれるのだって、まだ慣れないのに…
私はいつになったら呼べるのかな
「帰るぞ」
すっかり長居してしまった
夕食でも、と誘われたが
小山課長はいらないとバッサリ断った
一緒に食べたかったなと思いながら
小山課長の両親に見送られた

