初めての相手は無愛想上司



馬鹿か、と
眉間にしわを寄せていた


『だって…』


「痛くないか?」


『ゔ…、はい』


「冷やすか?」


『いえ、大丈夫…です』



前髪を手で払い
赤くなった額にキスを落とした


『こ、こ、こ、小山課長っ!』


実家です、というと
忘れていたのか
あ、あぁと気まずそうに私から離れた



私たちのやり取りを
ニコニコしながらみていた…らしく


「なんだか自分の息子じゃないみたいだな。いい男に成長したんじゃないか?」


「本当ね、息子のラブシーンなんて見せられるなんて、思ってもみなかったわ」



や、やめてください…
小山課長の両親は楽しそうに話していた
もう、と思いながらも
繋がれたままの手を握ると
小山課長も握り返してくれた