連休だというのに
離島は穏やかな時間が流れている
お父さんのお兄さん夫婦が
島に住んでいると聞いたが
私は一度も会ったことがない
お葬式の時でさえ、来なかったのだ

もしかしたら仲が悪いのかもしれない
だから会わずに島を出ることにした


「いいのか?小夜の身内だぞ?」

身内でも私には知らない人だ
大丈夫と言い、船乗り場へと急ぐ
午前中と午後の2本しかないから
乗り遅れたら、途方に暮れてしまう

この島には宿がない
だからいい、
会いたくなったら、また来たらいい
だってお父さんが眠っているから



「本土へ行く方はいませんかー?」


船頭さんが大きな声で叫んでいた
乗ります、と小山課長が手を上げる


小夜、


誰かに呼ばれた気がして振り返った
やはり誰もいなくて
もしかしたら、お父さんが
私を呼んでくれたのかもしれない