いつも小山課長が寝ている場所
彼本人がいなくても
小山課長に抱きしめられているかのように安眠できた


だから小山課長が帰宅したことも
全く気がつかず、ぐっすり眠っていた

夢でいいから早く会いたいと
小山課長の夢を見た




「小夜、愛してる」



そう囁かれたのが
夢だったのか
それとも現実なのか定かではないが
とても幸せな気分



目がさめると、目の前に
大きな壁がある
それは暖かくて安心できる壁


スー、スーと寝息が聞こえていて
若干だが、アルコールの臭いがした
結構飲まされたのかもしれない

もう少し寝かせてあげようと思い
小山課長の腕の中から抜けようと
腕に手をかけた時に気がついた


な、なんで…
いつの間に…、う、う、うそっ。


嬉しくて、涙が出た
抜け出そうとしたが
また小山課長の腕の中に収まる


私の左手の薬指に
キラキラと輝いた指輪
早く起きないかな、と
それを眺めながら
彼が起きるのを待つことにはしよう。



【fin】