「ここにはもう戻らない」
その言葉に何故だ、と顔が引きつる
何故戻らないのか…
『ここ、私のアパートなんですよ?』
「ああ、解約したらいい」
解約?なんで?どうして?
ここに住むこともダメなの?
同じ駅だから、
たまには会えるかもしれないし
休みの日だって会えるのに…
「…お前、何か勘違いしてるだろ」
呆れ顔の小山課長は
私の頬を拭ってくれた
よからぬことを考えて
自分でも気がつかない間に涙を流していた
「いいか、一度しか言わないから、きちんと聞いとけ」
そう言って両手で私の頬を挟み
視線を逸らさないようにされる
何を言われるかドキドキしてしまう
勘違い、というなら
これから小山課長が口にする事は
私にとっていいことなんだろう

