だが、いくら待っても会議室のドアは開かない
ドアノブを回そうにも
ファイルを持つので精一杯

身体をドアに預けて…
その一瞬でドアノブを回せば…と
頭の中で作戦を立てる


よし、大丈夫と意気込み
ドアに身体を預けドアノブに手を掛けようとした時
ドアノブが勝手に回った


『わあっ』


勢いよく開いたドアに
私の身体は支えていたモノが無くなり
バランスを崩してしまった


どふっ、


何かに当たってしまったが
ファイルを落とさなかった
良かった…
もし落として折れ目とか付いたら大変
黒ファイルは複製が難しい資料だったり
コピー不可なものが多い

だから基本貸し出しはダメ
だが課長が了承したってことは
上からの指示なんだろう



「おい」



ファイルが無事で安心したのも束の間
頭の上から声がして、顔を上げた