この腕が離れたくないと思う
今日も明日も…明後日も、
ずっと、ずっと…


恋の力は怖い
男なんて、と思っていたのに
好きになってしまえば
歯止めがきかず
止める方法がわからない


だから小山課長に言われるんだ
「恋愛初心者だ」と
けど、いい
それを止めてくれるのは小山課長だから



「おい」


何度か呼ばれたのだろうか
また不機嫌な声がする


聞いているのか、と
おでこをコツンではなく
ゴツン、とぶつけてきた


痛っ



『す、すみません…妄想世界に行ってました。なんでしょうか?』


妄想世界、という言葉に
眉をひそめる


「まぁいい、それより、一度お前のアパートに戻るぞ」


はい?
昨日も行きましたが?


『な、なんでですか?』


小山課長は私から離れ
一人で歩き出してしまった