「桜庭さん、悪いんだけどさ、コレ小山くんに届けてくれるかな?」



そう言って渡されたのは
分厚い黒ファイル3冊だ



3階の小会議室にいるから、と
蔵田課長から頼まれてしまった
なぜ私が?チラリと伊藤さんを見れば
慌てて私から目を背け
パソコンに目を向けた


分厚い黒ファイル…絶対重いだろう
仕方なく3階へと向かう
エレベーターに乗るが
全く前が見えない
ファイルの横からなんとか見える視界を頼りに小会議室を目指した



なんとかたどり着いたが
どうやってノックをしていいやら、
困った私は大きく息を吸った


『資料課の桜庭です。小山課長にファイルを届けにきました』


少し大きな声を出すだけなのに
なんだかグッタリしてしまう
早く、早くと思いながら
自分の手が限界に近いことに気がつく