翔へ
放課後、校庭の倉庫に来て欲しいんだけど…
待ってるね、
誰が書いたのかも分からない。
だけどこの字は知っていた。
きっと、あいつだ。
ひどいこと言って、もう近寄らないようにしようかと思ってた。
だけど…
「なんだ急に呼び出して」
用件を全く言わずに、ただ黙り込んで俯いているだけ。
「あのさ…ウチらもう一回やり直さない?」
「はっ?」
最初は意味が分からなかった。
今更、何言ってんだこいつ。
俺はもう、お前になんか興味無い。
そう言おうとした。
「俺は、お前になんて」
だけど、鼻をすする声を聞こえる。
女の得意技ってわかってた。
イライラが込み上げて、つい言ってしまった俺が悪かったんだと思う。
「泣くくらいなら、なんで俺の事捨てたんだよ」
「そ、れはっ」
こいつは中学1年から高校1年まで、付き合ってきた人。
だけど高校1年の冬。
密かに美雪が浮気してることもわかってた。
だけど俺は美雪が好きだった。
諦めたくなかった。だって初恋の人。
俺の唯一の特別な人。
「うちもう、翔の事なんて好きじゃない。
むしろ、嫌いだわ。ごめん、別れて。」
そう、冷たく言われたんだ。
ひとり残されて、雪道を歩いた事を思い出すと腹が立ってくる。
「うち、やっぱり、翔が好きって分かったの…」
「それが?」
随分冷たくするなぁって自分でも思った。
だけど今は俺には、守りたい人がいる。
好きな人がいる。隣に居たいと思う人がいる。
その人の事なんて、無邪気に捨てられない。
捨てたら一生後悔する。
俺の彼女にするんだって。
ずっと思ってた。
のに…のに。
「…っん、」
美雪から、勝手に腕をつかまれて口に当たった柔らかくて懐かしい感触。
嫌なはずなのに、心と体がバラバラになって、口では美雪に答えてた。

