「あのね、最近オカシイの…」
「なにがどんなふうに」
「な、なんか…。
先輩と目が合えば、その時だけ舞い上がってウキウキしてドキドキするの」
うんうんと頷いて聞いてくれる友人に、何度感謝した事か。
「でも他の女子と話してたりする時は、モヤモヤしてズキズキして…。
そして先輩が無理に笑ってる事が分かると、心配してその時はそわそわしちゃう。」
これが恋って事。そんな事分かってる。
だけど…だけど──。
「なんかすっごく、好きなんだなって。
逆にそれが…不安になるの」
例えあたしが乙女じゃなくても…
恋をしたって事が分かった時、すっごく嬉しくてドキドキして…
どうにかなっちゃいそうだった。
「なーに、不安なんて誰にでもあるわ」
不安になる事が、実は自分だけ何じゃないか。って心配してた。
「で、でも最近…先輩話しかけてくれないし…」
「何よ、放課後なんて先輩面白いのよ~」
え?と疑問をいがくが、答えてくれないのは彩乃の意地悪なのか、優しさなのか。